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New Project 「街ゲリラと架空の部屋」 を始めます。

20代の頃、北九州、八幡でトーマス・デマンド氏にスタジオビジットをしてもらう機会があった。「ゲリラ作品を作るといい。街でどんどん好きなことをすればいい。」と、氏は私に言ってくれた。その後、ドイツに移り、一緒に仕事をさせてもらったが、私は一度も氏がゲリラ的な作品を作ってるのを見たことがない。 氏は往々にして、スタジオで実寸大の緻密な紙の模型を作り、それを写真に撮っていた。あの時の氏の言葉はなんだったんだろう・・・10年振りぐらいに思い出されたその言葉が、心の中でふわふわしている。

数年前、西アフリカのブルキナファソに行った時の衝撃は凄かった。芸術活動をするためにそこに行った私たちは、そこには芸術がないことを目の当たりにした。極端に言うと、そこには音楽や踊りもなかった。そこでは、すべてが生活というひとまとまりのもので、それを分けることをしない。ブルキナファソの人たちにとっては、音楽も踊りも造形物も、動物を絞めることも、人が生まれることも死ぬことも、ひとつのことみたいだった。

海外から訪ねてくれた友人たちは、大阪のことをちょっとラフで、美しすぎず、自分も住めそうな街だと言う。彼らにとって、自分も住めそうな街というのは、褒め言葉なのだろう。大阪で生まれ育ち、今また大阪に住んでいる私には、大阪を客観的に捉えることはできないけど、大阪はナポリに似ていると思う。どちらも古い街でありながら、あまり古いものに執着しない、雑多な、生きた街だ。私はどっちの街も好きだし、そこにいると自分が人間らしく思える。

これらのいろいろな場面で起こった出来事が心に浮かんでくる。たぶんこれは何かのサインであり、タイミングなんだろう。

だとしたら・・・変わり続ける大阪の街で、ブルキナファソの人たちを見習って、生活の中にある、rawなこと − 生っぽい、編集されていないこと − をしてみよう。とりあえず、デマンド氏の言葉通りゲリラ活動してみよう。

 

2017年4月 大阪

 


 

今後「街ゲリラと架空の部屋」では、街で行われるさまざまな形のゲリラ活動を展開し、それに伴って虚像空間である、架空の部屋をウェブサイト上に構築していきます。随時プロジェクト情報をアップデートしていきます。

助成:おおさか創造千島財団

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