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Remaining here quietly, we think of our drifting forest @Akita Museum of Modern Art

Three-channel video projection with simultaneous narration in Japanese and English /8m x 12m x 5m / 2omins

われらここに在り、漂う森をおもう

3チャンネル・ビデオプロジェクション&日本語・英語同時ナレーション/ 8m x 12m x 5m / 2o分

青森県出来島海岸にある世界的にも大規模な最終氷期埋没林との遭遇がきっかけとなり、長坂はかつて東北地方を覆っていた森やそこに存在していた生態系、そしてそれらの消滅、移動と行方をさぐるプロジェクトを展開した。かつてあった森の手がかりを得るために、地形学者、古環境学者、植生学者などに取材をし、秋田県の森吉山、青森県の出来島海岸、岩手県の早池峰山でフィールド・ワークを行った。そのリサーチをもとにして、科学者と私という二人の人物が埋もれた森の丘(出来島海岸)に一緒に座り海を眺めながら、その場所で約3万年の時間の中で起こった様々な出来事や、現在も漂い続ける森、そして起こりえる未来について想いを馳せる物語を編纂した。

 

展覧会オープニングでの作家のコメント:

私は本展の参加作家の中で唯一秋田県に在住しているわけでも、秋田公立美術大学に関係しているわけでもありません。今から年余り前に、この展覧会への参加とこの展覧会に向けたプレ展覧会をしてほしいというオファーを受けました。初めて秋田を訪問したときに菅江真澄のことを知り、彼の図絵を見ているうちにその中にあった木の絵に惹かれ、プレ展覧会では彼が描いた木たちをテーマに作品を制作することにしました。彼がどんな眼差しで木々を見ていたのかを想像したり、描かれた木々が生えている(いた)場所を訪ねたりしながら、私なりの図絵の写しを作っていきました。その過程で、かりに図絵の中では木が単独で描かれていたとしても、実際には木が単独で生えていることはなく、常に複数本で生えていたり、周りに棲んでいる動植物や環境との関係性、もしくは木の世話をしてきた人たちとの繋がりのなかで存在していることに気づき、本展では集合体としての木々や、それらを取り囲む生態系、つまり森をテーマにして作品を作りたいと思うようになりました。

ちょうどその頃、青森県出来島海岸にある最終氷期埋没林と、かつて東北地方を覆っていた広大な森について知りました。それからは、かつてあった森やそこに存在していた生態系、それらの消滅や移動、そして行方について知るために、森林学者や地形学者、古環境学者の方々にお話を聞いたり、秋田県の森吉山、青森県の出来島海岸、岩手県の早池峰山を訪問しながらリサーチを進めていきました。そしてリサーチを通して収集した膨大な量の情報や視覚的素材をもとにして物語を編んでいきました。

できあがった作品は《われらここに在り、漂う森をおもう》という、ひとりの科学者と私という登場人物が夏の朝に埋もれた森がある海辺(出来島海岸)に座り、海を眺めながら、その場所で約3万年という長い時間の中で起こった色々な出来事や、そこから移動し今も漂い続けている森や、これから起こりえる未来について思いを巡らすというストーリーです。

私は自分自身の人生で大きな移動を度々してきました。そしてこの移動はいつまで続くのかなとか、どこかに定住したほうがいいのかなと考えてきましたが、「移動」と「定着・定住」を二項対立のものとして考えたり、人間的な視点からのみ考えてもどこにも辿りつかない気がして、それならばどうして他の生き物たち、例えば木々や森は移動するのか、または定着するのかを考えてみることにしました。木たちを含む植物も人間を含む動物も「生きる、少しでも良い環境で生きる」という生き物としての根源的なところは共通していて、今回木たちや森が移動したり、しなかったりする理由を探っていくことを通して、人間について、そして人生についても考える機会を与えてもらった気がしています。

今年はパンデミックの影響で今までのように移動することが困難になり、たくさんの人たちが今いるところに留まりながら、自分たちのこれまでの生活やこれからのことについて考えることが多々あったと思います。そんな情勢の中にありながら、私個人としては今年の9月から日本と香港に拠点を構えることになり、移動を前提とした生活が始まりました。そして今回の制作では、社会の情勢や自分を取り巻く環境が刻々と変化していくなかで作品を作ることの難しさに直面し、展示をすることについても多々考えることがありました。この作品は私としてはまだ納得できる状態には至っていないため、今後も制作を続けて会期中にアップデートをしていく予定です。そういう意味では、今もこの作品は移動や変容のなかにあるのだと思います。(2020.11.27)

 

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